SFコミック『Between Two Normals』feat. MINAMI KITAMURA by NARRATIVE LAB

SECTION

01 TOKYO

No.1住む場所で生活が大きく変わる

いまCOVID-19の感染拡大防止のために、様々な対応が行われています。なかには、自治体レベルで独自の対策を講じる地方自治体も存在しています。また、感染者数のバラつきは、住んでいる地域ごとの意識の違いも生んでいます。もし地域ごとに価値観が大きく変わったときに、都心としての東京、地方都市としての松山はどうなるのかを考えました。（ナラティブラボ）

#NARRATIVE LAB

No.2空間を共有するという体験

バーチャルでは人と心が通いにくいと感じることは多い。ただ、同じ空間に存在しているという演出はもっと工夫できるはず。遠隔から空気砲を操作して、ポンと肩をたたくような触覚を伝送する実験をしたことがあるが、親密さが増すことが確認できた。存在感のかなりは、実はそれほど解像度が高くなくとも共有できるのではないか。（暦本純一）

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No.3嫌な上司がいない世界で

もしベーシックインカムが実現すれば、必然的に「しなければならない」労働はなくなるので、上司とのコミュニケーションに煩わされることはなくなる。ただ、他人とのつながりの大切さはなくならない。生活が保障されている分、「誰にどう評価されるか？」がモチベーションにつながってくるかもしれない。（暦本純一）

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No.4恋愛はもっと多様になる

自分の当たり前が他人の当たり前でないことに、人はもっと慣れていくでしょう。マッチングアプリの一部では、ストレートが前提ではなく性的志向を尋ねられるようになっています。これからの恋愛においては、関係の数だけ「それぞれの愛」が存在することが当然になってくるはずです。（ナラティブラボ）

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No.5どこで人と出会うの？

昔は恋愛・結婚して家族をもつことで生まれるコミュニケーションの比重が大きかったですが、昨今はコミュニケーションが可能な場所が、ゲームやSNSなど他にもあります。恋愛に対する価値づけ自体が変化している印象があります。20年後も恋愛関係を求める「街コン」という文化が残っているのかは疑問です。（龍崎翔子）

#NARRATIVE LAB

No.6リアルと変わらないデジタル世界へ

ARやVRの高解像度化は、現在のテクノロジーのホットトピックです。片目ずつ4Kの解像度で映像が表示されるようになると、理論的には現実での視覚と同じものが提供されるようになります。聴覚や触覚に関しても現実と遜色なくなるのは、それほど遠い未来でありません。ただ、身体全体で感じるような感覚をどこまでデジタル化できるかが、デジタル空間の価値を高める鍵になってくるでしょう。（國光宏尚）

#NARRATIVE LAB

No.7恋愛の当たり前と新しいプラットフォーム

恋愛の基準になる価値は、5年おきに変わっているという話を聞いたことがあります。今すでに出会いの形も多様化しており、Twitterなどを通じた「文字から始まる出会い」も珍しくありません。実際に会って話すより、文字の方が相手の素の人格が見えやすいと言う人もいます。様々な手段で相手のことを知ろうとする試みは、これからもなくならないでしょう。（川添愛）

#NARRATIVE LAB

No.8都市の歴史が変わるとき

ローンのような新しい物流、リモートツールによる働き方の自由化によって、COVID-19の影響を受けた都市は変化していくことになるでしょう。自分が住みたい場所に人が住めるようになることで、東京のような異常な密度の都市は変化を迫られます。人口30万程度のコンパクトシティは、ドローンによる先進的な物流とインターネットによる場所からの解放によって実現されはずです。（柳瀬博一）

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No.09都市ごとのルール

2020年に県境を越える移動が「禁止」されることによって、わたしたちは自分が生きている土地がもつルールに縛られていることを実感しました。今後は都市ごとに多様なルールが生まれ、それを受け入れられるかどうかで、住む場所を決めるようになるかもしれません。テクノロジーを拒否するアーミッシュのような人たちのように、日本のなかにもデジタル通信をある程度制限する地域が生まれてもおかしくないかもしれません。（ナラティブラボ）

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No.10テキストはあいまいである

文字による情報伝達は、実は誤解を生みやすいものです。言葉そのものはあいまい性が高く、音声や相手の表情といった情報が欠けてしまうと、解釈が格段に難しくなるからです。一方で、そのあいまいさが、テキストのよさであるという見方もあります。平安時代に和歌で熱い恋が生まれたように、文字の奥を読み解こうとする情熱が人を動かすこともあります。それは未来でも変わらないでしょう。（川添愛）

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SECTION

02 MATSUYAMA

No.11地熱発電という新しいエネルギー

石油や天然ガスといった資源がないことでエネルギー自給率が低かった日本は、世界有数の「火山国」。そんな大きなエネルギーを利用した地熱発電には、大きな伸び代が期待できます。もし地熱発電が温泉地で盛んになれば、そこから生まれた電力だけで暮らす、電気の「地産地消」が実現するかもしれません。（ナラティブラボ）

#NARRATIVE LAB

No.12これからのネイバーフッド

自宅での時間が増えた結果、散歩の時間が増えて自分が住んでいる地域のことをよりよく知った人も多いでしょう。移動が少ない生活では、コンビニやチェーン店のような「便利さ」以外のものが求められます。公園のような緑のある空間や、ご近所さんとのコミュニケーションは、より大きな価値をもつようになるでしょう。（ナラティブラボ）

#NARRATIVE LAB

No.13サステナビリティと労働と「暇」

物質的な豊かさの「天井」が見えつつあります。新しい何かを買うモチベーションはどんどん下がり、自動化によって余暇も増えつつあるいま、いかに時間を豊かに過ごすかを人々は考えるようになるでしょう。日本の中世で新しい文化が生みだされたような「遊び方」を生みだす必要があります。ただ、そのためにはいま拡大しつつある貧富の差を、再分配によって解消する必要もあるでしょう。（國光宏尚）

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No.14これからの地方行政

日本全体で過疎化が進み、地方の人口が少なくなると、コストをカットするために行政サービスを集約的に提供する必要が生まれてきます。また、一方で土地ににぎわいをもたらすためのエンターテインメントも重要性を増すでしょう。スタジアムのような大きな施設に、インフラとなるサービスを組み合わせることで、行政・娯楽を集約した場所が生まれるかもしれません。（ナラティブラボ）

#NARRATIVE LAB

No.15「感染」という状況と生きること

新型コロナウィルスの感染拡大は開始から1年が過ぎても沈静化せず、感染者数を気にしながら生きる日々は「新しい日常」となりつつあります。まるで天気予報で台風が来ることが知らされるように、感染者の状況が通知されることも生活のなかの一風景になっていくのかもしれません。（ナラティブラボ）

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No.16地方と都心の新しい関係

テレワークの普及などによって、二拠点生活に注目が集まっています。ただ、戦時中に「疎開」した人も後に多くが元いた街に戻ったように、移住した人がみんなずっと地方に根を張るわけではないだろうとも思います。都会の人が求める「地方」は別荘地的なイメージで、必ずしも、地元のコミュニティと交わることではなかったりもします。一方で、テレワークにより地方のディスアドバンテージが減りつつあることは間違いないでしょう。（御手洗瑞子）

#NARRATIVE LAB

No.17「友達」の新しいかたち

SNSが普及したときに、顔もしらない人と友達になることが当たり前になりました。VRなどを活用した遠隔コミュニケーションツールが一般化した結果、どんな関係性がそこに生まれるのでしょう。外での飲食が制限された状況下では、友達と気兼ねなくトークができる「サードプレイス」がバーチャル空間でも生まれるかもしれません。（ナラティブラボ）

#NARRATIVE LAB

No.18食体験の希少性

VRで再現できるのは、まだ聴覚・視覚、そして一部の触覚の領域にとどまっている。もし味覚が再現できたとしても、京都で食べる「鮎の塩焼き」のような、ローカルとのつながりが強い食体験をVRで再現することには限界がある。無理にすべてを仮想化させるのではなく、ドローンによる物流改革で「お取り寄せ」が進化するなどして、仮想と現実の「いいとこ取り」になるのでは。（暦本純一）

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No.19再考するべき人生の価値観

技術が発展するにしたがって人間が幸福になっているのかどうかは、再検討されるべき。ブラジル・アマゾンの先住民であるピダワン族は言葉に時間という概念がないので、むしろ過去に囚われずに幸せでいられるという。なんでもシミュレーションできるようになっても、人が幸せに生きる方法は自分で見つけるしかないのかもしれない。（暦本純一）

#NARRATIVE LAB

No.20海上都市の可能性

地球温暖化などの影響で海面上昇の問題がさけばれるなか、世界で注目されているのが「海上都市」。日本でも50年以上前から、その現実性が議論されてきました。新型コロナウィルスの影響で、どこの土地にも属さない空間の必要性は高まりつつあるなか、埋め立て地ではない新しい日本が、これから生まれるかもしれません。（ナラティブラボ）

#NARRATIVE LAB

No.21結婚という制度

結婚という制度がもつ価値が、いま改めて検討されているように感じます。同棲するために結婚するということ自体がナンセンスだとも思います。もしVR空間でコミュニケーションがとれるようになれば、一緒に住まなくても仕事をあきらめなくても結婚することが可能かもしれません。ただ、その結婚は何のためなのでしょう？（龍崎翔子）

#NARRATIVE LAB

No.22移住は生活の軸を変える

新型コロナウィルスの影響で、都市で住んでいた人の移動が起きはじめています。公園のような屋外環境や部屋の広さを求め、町田や日野、八王子といった郊外都市に人が集まり始めているのです。今後は場所に依存しない産業が東京以外の都市に移っていくことが予想されます。大企業が動けば、そこに新しい都市が生まれるはずです。（柳瀬博一）

#NARRATIVE LAB

No.23風土と人の循環

土地には、そこで育まれてきた気風があります。たとえば、わたしが活動している気仙沼は、もともと外から船を誘致し水揚げしてもらい、船の面倒をみる場所でもあったので、外から来た人をよろこんで迎える気質があります。新しい人を受け入れて、新しいモノを生み出す。そんなサイクルは、もともとあった土地の性質とそこにくる人の両側から生み出されているように思います。（御手洗瑞子）

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No.24AIと新しい人生

「単純労働」と呼ばれるものの多くが、人工知能によってこなされるようになったとき、我々の生活の生産性は大きく向上していくでしょう。そうなったときに、AIを使いこなせる人の収入は激増していくはずです。その上で、「なりたい自分になれるか？」という価値観で人は生き方を考えていくことになるのでしょう。（國光宏尚）

#NARRATIVE LAB

No.25変わる人間、変わらない道

都市について調べていると、駅とは異なる栄えた場所を見つけることがあります。それは昔からある古い街道沿いだった可能性があります。鉄道資本で開発されてきた駅前とは異なり、古来からある道はいまも自動車が行き交っています。ドローンなどが普及すると、新しい「道」が生まれ、これまでと異なる発展の形がみえてくるかもしれません（柳瀬博一）

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SECTION

03 FLOATING CITY

No.26「捨てない」という満足

生まれるゴミをできるだけ減らそうとする習慣は、生活のなかに溶け込みました。できるだけ環境に配慮しながら生活を送ることは、生きるという行為のなかで新しい価値観となりつつあるのです。もはや我々は何かを買うことで満たされるのではなく、再利用することで満たされるのかもしれません。（ナラティブラボ）

#NARRATIVE LAB

No.27人が人から教わること

知識や技能といった情報はオンラインでも伝達されるかもしれません。ただし個人的な印象を言えば、もし自分が大学時代にオンラインのみの指導を受けていたとしたら研究者にはならなかったような気がします。先生や先輩の背中を見るような体験は、情報以上に人に何かを教えるものだと思います。（川添愛）

#NARRATIVE LAB

No.28テックと少子化

70億人という人口が地球にとって最適なのかも考慮する必要はありますが、先進国を中心に少子化がかなりのレベルで進みつつあります。テクノロジーの進歩は、ここに少なからず影響しているはずです。もし性的なVRが普及すれば、セックスという行為を必要としない人はいま以上に増える出てくるかもしれません。（國光宏尚）

#NARRATIVE LAB

No.29「本」の価値

図書館や書店、そこに収められた大量の蔵書は、これまで人間の英知を蓄えてきました。ただ、すべてがデータ化していくなかで本というメディアはもはや過去の遺物になってしまうかもしれません。ただ、レコードが再び評価されたように、そこに込められたイメージやニュアンスは人を引きつけ続けるでしょう。（ナラティブラボ）

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